2016年12月19日月曜日

川上山若宮八幡宮の岩石信仰(三重県津市)

三重県津市美杉町川上

境内の岩石信仰

川上山若宮八幡神社
おもかる石。拝殿向かって左脇に安置。

川上山若宮八幡神社
みそぎ滝。雲出川水源。現在でも「みそぎ修法」と呼ばれる滝行が公式に行われている。
滝に隣接して岩肌斜面上に不断社の祠がまつられており、磐座の上に建つという。

川上山若宮八幡神社
不断社から、雲出川を挟んだ向かいに見える露岩。その裾には2基の石灯籠が設けられている。詳細不明。

川上山若宮八幡神社
みそぎ滝に榊と積石が手向けられている。

川上山若宮八幡神社

川上山若宮八幡神社
このように、ケルン状の石積みをしたり、鳥居の上に石を積むという行為が境内では散見される。

川上山若宮八幡宮には、各宅の神棚にまつるために「御石」を授与し、祈願成就の暁には個数を倍にして返す「お返し石」の儀礼が執り行われており、岩石を用いた祭祀行為が極めて親しく行われていることが窺われる。

川上山若宮八幡神社
神橋から見える川中の岩塊。詳細不明。9年前(2006年1月)に参拝した時には注連縄は巻かれていなかった。


【情報募集】所在地不明の事例群

2007年時点で神社境内に存在した地図。2016年探訪時には撤去されていた。
今はなきこの地図に重要な情報が載せられている。


「雨乞社(立石さん)」「燈明石」「赤子石」の字が読める。

曖昧な地図のため、等高線地図と照らしあわせても、どこに該当するか特定することができない。
そこで、川上山若宮八幡宮の社務所で神職の方に尋ねたところ、おそらく現地を知る神職の方から次のような回答を聞き取りできた。

  • 赤子石は、逢神橋からすぐ見える、川の中にある大きな石。祭祀に関わる石とのこと。詳細は明確な回答を得られず。
  • 燈明石は、逢神橋から車道を下って1軒の家があるので、その家の後ろから山に登れる道がある。暗渠(地下に水が流れる)になっている場所という。その道を5分ほど登るとあるとのこと。たぶん案内なくても行けるとのこと。
  • 燈明石は祭祀対象としての石ではない。そこで燈明を灯したことからこの名があるという。
  • 雨乞社(立石さん)は、たまに行くとのこと。ただし、その場所を知る地元の人の道案内がなければ辿りつくことは難しいだろうという。1時間以上は登るのではないかとおっしゃる。
  • 山のどのあたりか、山頂ですか?と尋ねたところ、「磐座を勉強されている方ならわかると思うが、磐座は山頂にはない。」と強調された(磐座と決まってはいないが・・・)。中腹というか、山の凹み、鞍部のようになっているところらしい(はっきりとニュアンスが掴めず、おおむねこのような意味と受け取った)
  • 雨乞社(立石さん)を示す表示・案内は現地には一切ないとのこと。
  • これらの石に関して書いてある文献はないだろうとのこと。

文献がないのであれば、この聞き取りが唯一のヒントとなってくる。
(ただし、まだ郷土資料の調査はしていない。美杉町の図書館は17時閉館だったため見れず)

川上山若宮八幡神社
まず、これは逢神橋である。
橋の北側に、川に沿って歩ける未舗装の道があり(並行して走る林道ではなく、川に一番近い道。300mも歩かないうちに行き止まりになる)、これを進むとすぐにこのような石祠が路傍に置かれている。

川上山若宮八幡神社
石祠から下の川を見下ろすと、ちょうど直下の川の真ん中に大きな石がある。

川上山若宮八幡神社
特に表示はないが、位置的に考えてこれが赤子石だと推定したい。

次に、燈明石が到達できる可能性があるので、まず家を探す。
逢神橋からさらに車道を下ると、まず見かけるのは谷沿いに置かれたコンテナ状の施設と、その奥の谷に続く道。

川上山若宮八幡神社
木材を切り出して並べている。
写真左下に石祠がある。門扉が半開きであり中に鏡が収められているのが見えた。赤子石と同様、この石祠が燈明石の目印の可能性も?
しかし、燈明石は祭祀対象としての石ではないと言っていたことや、このコンテナは家とは呼ばないはずなので違うと判断する。さらに車道を下る。

すると、車道が大きくカーブするところで山側に登れる道があり、そこを上がると1軒の家がある。人は常駐していないようだ。その家の背後からは登れなさそうだが、家から向かって右手に山側へ向かって続いている踏み跡があり、ちょうど谷の北側を進む道となる。この谷を暗渠とみなせば、条件にかなう。

川上山若宮八幡神社
上の写真のように、この道も木材を切り出すための作業道として活用されているようだ。
5分ほど登ってみたが、特に岩石は見当たらない。
時間もすでに17時で暗くなってきたためここまで。今回は予備的調査なので、次回の機会に持ち越したい。

雨乞社(立石さん)については、現時点では自力での到達はあきらめているところ。
しかし、ここは川上山若宮八幡宮の境外社としての社格があり、その名称からもぜひ一見したいし、これほど知られていない状況であれば、知っている人が存命のうちに、後代に途絶えないように記録に残したい。

おそらく、逢神橋北から東へ伸びる林道からアクセスするのだと思うが・・・(詳細はgooglemap参照)
現地を知る地元の方にお会いでき、いつかは案内いただけるように願って。

次の段階としては、地元の図書館や資料館などで文献調査をしたいところだが、本事例に関してはこのようにまったく情報が出回っていない。
(2007年に初めて知って以来、9年間待っていましたがweb上に登場することはなかった)

情報をお持ちの方はぜひご提供ください。

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